うつの回復期間の過ごし方

うつ・メンタル回復

〜焦らず、でも前に進むための7つのこと〜


 朝、目が覚めた瞬間に「ああ、今日も一日が始まるんだな……」と、ズーンと重い気持ちになっていませんか。カーテンの隙間から差し込む光さえ、自分を責めているように感じて、さらに心が重くなる。そんな日々を過ごしているあなたへ、この記事を書いています。

私は、看護師と保健師として働いてきました。いわゆる「心の健康」をサポートするプロのはずでした。でも、そんな私自身もうつ病になり、さらにはコロナの後遺症にもなり、人生で約2年くらいは、 ほとんど「寝て、起きて、また寝る」だけの生活を経験しました。

「あんなに勉強して資格を取ったのに」「同期は今もバリバリ働いているのに」「職場の人に申し訳ない」。そんな声が頭の中でリフレインして、動けない自分に絶望した夜は数えきれません。でも、今ならはっきりと言えます。

今、あなたが横になっていること。それは、怠けているのではなく、全力で治療をしている最中なんだよということ。

この記事では、どん底の時期をどうにか生き延び、傷病手当や失業保険、そして職業訓練を経て少しずつ前を向き始めた私の実体験を交えながら、回復期の過ごし方についてお話しします。


① 回復期間に「やってはいけない」4つのこと

まずは、良かれと思ってやってしまいがちな「実は回復を遅らせてしまう行動」からお伝えします。私も全部やってしまい、そのたびに寝込んでしまった失敗談です。

焦って「何か」をしようとする

一番の敵は「焦り」です。「休んでいる間に何か身につけなきゃ」と、無理に資格の勉強を始めたり、難しい本を読もうとしたりしていませんか。私は休職してすぐの頃、あろうことか「今のうちに英語の勉強をしよう」とTOEICの本を買い勉強しました。結果は、5分で脳がパンク。結局、数日間寝込む羽目になり、全然勉強にならず、今でも身についていないです。

脳が疲弊しているときは、情報を処理するエネルギーが残っていません。今は「何もしない」をすること。これが最も高度な治療です。

SNSで他人と自分を比べる

キラキラした友人の投稿、仕事で成果を出している人の報告。これらは今のあなたにとって「毒」でしかありません。私はSNSを見ては、「自分だけが社会のレールから外れてしまった」という恐怖に震えていました。

通知を切り、できるならアプリを消しましょう。他人の人生は、今のあなたには関係ありません。あなたの戦う相手は他人ではなく、「今日をどう穏やかに過ごすか」という自分自身の体調だけです。

無理に社会復帰を急ぐ

「もう2ヶ月も休んだから、そろそろ働けるかも」という根拠のない自信。これは回復期の中盤によくやってくる罠です。私は少し体調が良くなったタイミングで無理に面接に行こうとしましたが、履歴書を書いたり、連絡を取っているうちにまた動けなくなりました。

体と心は、あなたが思っている以上にゆっくり回復します。「もう大丈夫」と思ってから、さらに1ヶ月プラスして休むくらいの余裕がちょうどいいのです。

「治ったかどうか」を毎日確認する

朝起きて「今日は元気かな?」「昨日の自分よりマシかな?」とチェックすること。これは、治りかけのかさぶたを毎日剥がしているようなものです。

精神的な回復は、0か100かではありません。霧が晴れるように、気づいたら「そういえば最近、少しだけ楽かも」と思える日が来るのを待つしかないのです。


② 回復期間の「7つの過ごし方」〜小さな一歩の積み重ね〜

何もできない、と思っていても、実はできていることはたくさんあります。ハードルを地面に埋めるくらい低くして、こんなふうに過ごしてみてください。

1. 起きた時間を記録するだけでいい

「何時に起きなきゃ」ではなく、ただ「起きた時間をメモする」。これだけで十分です。私は100円均一で買ったメモ帳に起きた時間を殴り書きしていました。

昼過ぎだろうが、夕方だろうが構いません。「私は今日、この時間に目覚めた」という事実を認めること。それ自体が、現実と自分を繋ぎ止める大切な作業になります。

2. 好きな食べ物を一つだけ食べる

食欲がない日も多いかもしれません。でも、もし「あれなら食べられるかも」と思うものがあれば、それを食べてください。

私の場合は、コンビニの特定のプリンでした。その一口が、唯一「生きている実感」をくれる瞬間でした。栄養バランスなんて二の次です。心が「美味しい」と一瞬でも思えること。それが脳への最高の栄養になります。

3. 5分だけ外の空気を吸う

朝に散歩することは確かに、うつ病に効果的です。しかし、「散歩に行かなきゃ」と思うと重荷になります。だから、窓を開けるだけ、あるいはベランダに出るだけで100点満点です。

私は調子が良い日だけ、玄関のドアを開けて外の空気を吸っていました。穏やかな風や、遠くに見える山の緑をぼーっと眺める。それだけで、閉ざされていた心が少しだけ外の世界と繋がることができます。

4. 「今日できたこと」を一つ見つける

「今日は何もできなかった」と自分を責めて一日を終えるのは、もうやめましょう。

「歯を磨いた」「顔を洗った」「メールを1通読めた」。これらは、うつの状態にある人にとっては、エベレストに登るくらいの重労働です。それを成し遂げた自分を、「今日も頑張ったね」と労ってあげてください。できればノートやメモ帳にできたことを書くのが効果的です。しかし、それが重荷になる 場合はできたことを口に出したり、思ったりするだけで十分です。

5. 無理のない範囲で体を動かす

動けるようになってきたら、布団の中でストレッチをする程度で十分です。

私はコロナの後遺症で体力が極端に落ちていたので、指先を動かしたり、寝たまま足をバタバタさせたりすることから始めました。血流が少し良くなるだけで、思考の「澱(おり)」がわずかに薄らぐことがあります。

6. 信頼できる「一人」だけに話す

全員に理解してもらう必要はありません。あなたの状況を否定せず、「そうなんだね」と聞いてくれる一人を見つけてください。

家族でも、友人でも、あるいは専門のカウンセラーでも構いません。私は看護師として「助ける側」のプライドがありましたが、それを捨てて誰かに弱音を吐けたとき、ようやく回復のスタートラインに立てた気がしました。

7. 制度を使って経済的な不安を減らす

「お金がなくなる」という不安は、うつを確実に悪化させます。

私は傷病手当金をフル活用し、退職後は失業保険を受け取りながら職業訓練に通いました。公的な制度は、あなたがこれまで一生懸命働いて納めてきた税金や保険料から成る「権利」です。これを使うことで「とりあえず数ヶ月は生きていける」という安心感を確保してください。これが、回復のための最大の土台になります。


③ 回復のサインを見逃さないために

うつの回復は、階段を一段ずつ登るようには進みません。3歩進んで2歩下がる、時には3歩下がってしまうような、ぐにゃぐにゃした波の形をしています。

「今日は調子がいい!」と思っても、翌日は起き上がれない。それは「悪化した」のではなく、回復のプロセスの一部です。そんな中で、以下のようなサインが一つでも現れたら、あなたは着実に前へ進んでいます。

✅ テレビやYouTubeの内容が頭に入ってくるようになった
✅ 味覚が戻り、食べ物の匂いを「いい匂い」と感じた
✅ 季節の移り変わりに気づいた
✅ お風呂に入るのが数日前より少しだけ苦じゃなくなった
✅ 一瞬だけ「なんとかなるかも」と思えた
✅ SNSを「見なくてもいいや」と思えるようになった
✅ お笑い番組を見て不意に笑ってしまった

もし今日、また動けなくなってしまっても、「ああ、今は2歩下がる時期なんだな」と受け流してください。下がった分、次に進むためのバネを溜めているだけですから。


④ 最後に:あなたは一人じゃない

今、休んでいることは、人生において最も「正しい選択」です。 燃え尽きてしまった心に、無理やり薪をくべても火はつきません。今は、消えかかった火種を大切に守る時期なのです。

私も、1年前は今のあなたと同じように、真っ暗な部屋で絶望していました。でも、少しずつ、本当に少しずつですが、世界に色を取り戻すことができました。

大丈夫。明日のことは、明日考えればいい。 今日は、温かい飲み物でも飲んで、ゆっくりと目を閉じてください。

あなたは、今日まで生き抜いてきた。それだけで、本当はもう十分すぎるほどすごいんです。


経済的な不安を減らしたい方へ

傷病手当金の申請手順・会社への依頼メールテンプレート・チェックリストを以下のnoteにまとめています。体がしんどくても動けるように、コピペで使えるテンプレートを用意しました。

▼ 傷病手当金の申請手順を完全解説(note・1,480円)

傷病手当金の申請手順を完全解説〜書類の書き方・会社への連絡テンプレート・チェックリスト付〜|うつ看護師ヒロ
はじめに 朝、目が覚めても体が鉛のように重く、天井を眺めることしかできない時間は、言いようのない不安に支配されます。通帳の残高や財布の中身を確認するたびに、この先の生活が立ち行かなくなる恐怖で胸が締め付けられ、「明日、どうしよう。」という気持ちが先行し、本来休めるはずの時間が焦燥感に塗り替えられいきます。 私は看護...

一人で抱え込まず、まず相談してみてください

公認心理師のみが対応するオンラインカウンセリング「Kimochi」は、自宅から気軽に相談できます。プロの力を借りることは、決して恥ずかしいことではありません。

オンラインカウンセリング「Kimochi」


同じ看護師として転職を考えている方、もう一度看護師にチャレンジしようと思っている方

体を壊しながらも看護師を続けてきた私が、転職を考え始めた時に使ったのが看護師専門の転職サービスです。無料で登録でき、担当者が親身に相談に乗ってくれます。

看護師転職サイト『ナースJJ』


退職後のお金の不安を解消したい方へ

傷病手当・失業手当・職業訓練の使い方を詳しくまとめたnoteがあります。私自身の実体験をもとに、具体的な申請手順まで書きました。

▼ 詳しくはこちら(note・980円)

https://note.com/hiro_saiken/n/n541b1ad13c8b

一歩ずつ、一緒に前に進みましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました