① 「まさか自分が」と思っていた
わたしは、精神科をはじめ、複数の医療現場でこころのケアをしてきました。
「うつ病は弱い人がなるものじゃない」「環境や状況が重なれば誰でもなりうる」——教科書で学び、ネットでの情報をみて、頭では分かっていた。患者さんにもそう話してきた。
でも、いざ自分がうつになったとき、頭の中で最初に浮かんだのは「なんで私が」という言葉でした。
医療の知識があっても、自分が当事者になると何も分からなくなる。それがうつ病の怖さだと、今なら分かります。
この記事は、私がうつ病と向き合ってきた長い記録です。学生時代から始まり、看護師・保健師として働きながらも症状と戦い続け、コロナ後遺症が重なって仕事を辞めることになった経緯を、できるだけ正直に書きます。
同じように「まさか自分が」と思っている方に、届いてほしい記事です。
② うつの症状が出始めた頃——学生時代
最初の異変は、看護学校の実習中でした。
実習記録を毎日夜中まで書き続ける日々。睡眠時間は平均4時間ほど。それが長期間続きました。
「みんなも同じくらいしんどいはず」「自分だけ弱音を吐けない」そう思って、ずっと無理をしていました。
ある朝、立ち上がれなくなったんです。うまく体が動かせない日が続きました。
友人が助けてくれて、精神科に通うことになりました。薬をもらいながら、なんとか実習を乗り越えました。
その後も勉強を続けて、看護師国家試験に合格することができました。
今振り返ると、あの時の自分によく頑張ったと言ってあげたい。でも同時に、あそこまで追い詰めなくてよかったとも思います。まじめにならずもう少し手を抜いてもよかった。
③ 保健師・看護師として就職——うつを抱えながら働く
その後、保健師免許も取得し、医療や公衆衛生の現場でいくつかの職場を経験しました。
ただ、うつはまだ治り切っていませんでした。
倦怠感が強く、起き上がれない日が続くことがありました。それでも「働かなければ」という気持ちで、なんとか続けていました。
何度か転職を繰り返しながら、精神科の現場に長く携わるようになりました。患者さんのそばで働きながら、自分自身の症状とも向き合い続けた時期でした。
職場によっては業務量が多くなく、なんとかやっていけた時期もあります。でも夜勤が体に合わなかった。夜勤明けはほぼ寝るだけ。休みの日も何もできない。そんな生活が長く続きました。
「自分はどこへ向かっているんだろう」、「このまま続けていけるのか」と思うことが何度もありました。
④ コロナ後遺症が追い打ちをかけた
うつ病とうまく付き合いながらなんとか看護師を続けていた時、
ある職場での業務中にコロナに感染しました。
熱は下がりました。でも、不幸なことに倦怠感が残ったんです。
うつ病の時以上に1日中活動できない日々が続きました。約1年間、寝て起きての生活でした。元々あったうつの倦怠感に、コロナ後遺症の倦怠感が重なって、仕事を続けることができなくなりました。
結局、退職することになりました。
⑤ 傷病手当・失業手当・職業訓練に助けられた
退職後、傷病手当金の申請をしました。
収入がなくなることへの不安は、想像以上に大きかった。でも傷病手当金が入ってきた時、本当にありがたかった。あの制度がなければ、あの時期を乗り越えられなかったと思います。
コロナ後遺症が落ち着いてきた頃、今度は失業手当の受給が始まりました。「働く前の準備期間」として、焦らず回復に専念できる時間をもらえた気がしました。
職業訓練では簿記を選びました。理由は、次のステップを考えた時にお金の知識を身につけたいと思ったから。
数字を自分で読めるようになると、お金への漠然とした怖さが少しずつ変わっていきました。
⑥ 今の私——まだ途中にいます
今は傷病手当も失業手当も終わり、収入が不安定な状態が続いています。
体はだいぶ楽になり、後遺症も日常生活はできるくらいには回復しました。
しかし完全にコロナ後遺症が治り切っていないため、季節の変わり目などで体調が不安定になることもあります。そのことが、また新たな不安につながっています。
正直に言うと、心に余裕がない日もあります。
でも、あの立てなくなった朝から今まで、ずっと前を向いてきた。それだけは、自分を認めてあげたいと思っています。
完全に立て直せた「成功談」ではありません。まだ歩いている途中だからこそ、同じ立場にいるあなたと同じ目線で話せると思っています。
⑦ 同じ状況にいるあなたへ
うつ病は、弱いからなるものじゃないです。
私は医療職でした。精神科で患者さんのそばにいた人間でした。それでもなった。それでも長年苦しんだ。
「まさか自分が」と思っている方へ。その感覚は、うつになった人のほとんどが経験することです。あなただけじゃない。
しんどい時は、一人で抱え込まないでください。
まず誰かに話すだけでいい。話せる人がいなければ、専門家に相談することも選択肢のひとつです。
一人で抱え込まず、まず相談してみてください
公認心理師のみが対応するオンラインカウンセリング「Kimochi」は、自宅から気軽に相談できます。対面が難しい時期でも、画面越しに話を聞いてもらえます。
看護師として転職を考えている方へ
体を壊しながらも看護師を続けてきた私が、転職を考え始めた時に使ったのが看護師専門の転職サービスです。無料で登録でき、担当者が親身に相談に乗ってくれます。
退職後のお金の不安を解消したい方へ
傷病手当・失業手当・職業訓練の使い方を詳しくまとめたnoteがあります。私自身の実体験をもとに、具体的な申請手順まで書きました。
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一歩ずつ、一緒に前に進みましょう。


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